【法人向け】パソコンセキュリティ対策:最新脅威と効果的な防御戦略
2025.01.27投稿、2025.01.27更新
サイバー攻撃の脅威が日々進化する中、企業のパソコンセキュリティ対策はますます重要性を増しています。本記事では、法人向けのパソコンセキュリティ対策について、最新の脅威動向から効果的な対策と、組織全体で取り組むべき実践的アプローチを詳しく解説します。
企業を取り巻くサイバーセキュリティの現状と課題
サイバー攻撃の手法は日々進化し、企業が直面するリスクは複雑化しています。最新の脅威動向と、従来の対策では対応しきれない新たな課題を見ていきましょう。
最新の脅威動向と攻撃手法の進化
近年、企業を標的としたサイバー攻撃は複雑化・高度化の一途をたどっています。特に注目すべき脅威として、以下が挙げられます。
- ランサムウェアの高度化
従来のファイル暗号化に加え、データ窃取や公開脅迫を組み合わせた「二重脅迫型」ランサムウェアが急増しています。2023年には、企業を標的としたランサムウェア攻撃が前年比30%増加したとの報告※1もあります。
- サプライチェーン攻撃の増加
取引先や外部サービスプロバイダーを経由して企業ネットワークに侵入する手法が巧妙化しています。信頼されたソフトウェアのアップデートを偽装するなど、検知が困難な攻撃が増えています。
- AIを活用した高度な攻撃
機械学習を用いて、従来の防御策を回避する新たな攻撃手法が出現しています。例えば、AIを使ってフィッシングメールの文面を自動生成し、より説得力のある詐欺を仕掛けるケースが報告されています。
※1 チェック・ポイント・リサーチ、2023年サイバー脅威データを公開 ランサムウェア攻撃が前年比33%の急増 | チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社のプレスリリース(PR TIMES)
サプライチェーン攻撃については、次の記事も参考にしてください。
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【事例あり】サプライチェーン攻撃とは?最新動向や手口、対策方法を解説
従来のセキュリティ対策の限界
サイバー脅威の急速な進化に伴い、従来のセキュリティ対策では十分な防御が難しくなっています。新種のマルウェアは、従来のアンチウイルスソフトの検知をすり抜けてしまうことが多く、企業のシステムを危険にさらしています。さらに、クラウドサービスの普及やリモートワークの一般化により、従来の境界防御の概念が通用しなくなってきました。また、人間の心理を巧みに利用するソーシャルエンジニアリング攻撃に対しては、技術的な対策だけでは防ぎきれません。これらの課題を克服するには、より柔軟で総合的なセキュリティ戦略が不可欠となっています。
データ漏洩のリスクと影響
データ漏洩は企業に深刻な打撃を与える可能性があります。2024年の平均データ漏洩コストは約488万米ドルに達しているという報告※2もあり、調査費用から信用回復のための広報活動まで、幅広い支出を強いられます。さらに、顧客や取引先からの信頼喪失は長期的な業績低下を招く恐れがあり、企業の存続すら脅かしかねません。加えて、個人情報保護法違反などによる罰金や訴訟リスクも無視できません。このように、データ漏洩は財務、評判、法的責任の面で企業に多大な影響を及ぼし、その予防と対策は経営上の重要課題となっています。
※2 データ侵害のコストに関する調査 2024年 | IBM
パソコンセキュリティ対策強化アプローチ
効果的なセキュリティ対策には、多層的かつ包括的なアプローチが不可欠です。最新の技術と戦略を組み合わせた、強固な防御体制の構築方法を紹介します。
多層防御の基本と実装
企業のセキュリティを効果的に守るには、単一の対策ではなく、複数の防御層を組み合わせた多層防御アプローチが欠かせません。このアプローチでは、ネットワーク、エンドポイント(従業員が使用する端末)、データ、そしてユーザー認証の4つの重要な領域を総合的に守ります。それぞれの領域で適切な対策を講じることで、より強固なセキュリティ体制を築くことができます。
例えば、ネットワークの入口では最新のファイアウォールやIPS/IDSが不正なアクセスを監視し遮断します。一方、社員のパソコンやスマートフォンなどの端末には、EDRと呼ばれる高度な検知・対応ツールを導入し、マルウェアの早期発見と迅速な対処を可能にします。
大切な企業情報を守るためには、暗号化やアクセス制御、さらにはデータ流出を防ぐDLPツールなどを駆使します。また、なりすましによる不正アクセスを防ぐため、多要素認証や特権アカウントの厳格な管理も重要です。
これらの対策を巧みに組み合わせることで、たとえ攻撃者が一つの防御を突破しても、次の防御で足止めされる可能性が高まります。結果として、企業全体のセキュリティレベルが大幅に向上し、サイバー攻撃に対する耐性が強化されます。
DLPツールについては、次の記事も参考にしてください。
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エンドポイントセキュリティの強化策
企業のセキュリティにおいて、パソコンやスマートフォンなどのエンドポイントは攻撃者の主要な標的となっています。この脆弱性に対処するためには、EDRの導入が効果的です。EDRは未知の脅威にも迅速に対応し、自動化されたパッチ管理で常に最新の防御を維持します。さらに、アプリケーション制御機能により不正ソフトの実行を防止し、エンドポイント全体のセキュリティレベルを大幅に向上させることができます。
エンドポイントセキュリティについては、次の記事も参考にしてください。
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ネットワークセグメンテーションとアクセス制御
企業ネットワークの安全性を高めるには、マイクロセグメンテーションとゼロトラストの考え方が鍵となります。ネットワークを細かく分割し、必要最小限の通信のみを許可することで、攻撃者の動きを制限します。同時に、全てのアクセスを厳密に検証する「ゼロトラスト」モデルを採用し、VLANやサブネットを適切に設計することで、より強固なセキュリティ体制を実現できます。これらの対策により、社内ネットワークのセキュリティが大幅に向上します。
ゼロトラストについては、次の記事も参考にしてください。
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ゼロトラストとは?メリットやデメリット、実現するためのポイントを紹介
クラウドセキュリティとリモートワークの課題
クラウド環境の普及とリモートワークの一般化に伴い、新たなセキュリティ課題が浮上しています。これらの環境における対策について詳しく解説します。
クラウド環境におけるデータ保護
クラウドサービスの普及に伴い、データ保護の手法も進化しています。CASBを導入することで利用状況の可視化と管理が向上し、データ漏洩リスクが低減します。同時に、クラウドプロバイダーのセキュリティ機能を最大限活用することで、設定ミスによる脆弱性を防げます。さらに、保存データと通信データの適切な暗号化により、不正アクセスのリスクも大幅に軽減されます。これらの対策を組み合わせることで、クラウド環境でも高度なデータ保護が可能となり、クラウドの利点を安全に享受できます。
CASBについては、次の記事も参考にしてください。
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リモートワーク時のセキュリティ対策
リモートワークの普及により、新たなセキュリティリスクへの対応が急務となっています。安全なリモート環境を構築するには、多要素認証を備えた強固なVPNの導入が不可欠です。同時に、MDMツールを活用してリモートデバイスのセキュリティ設定を一元管理し、社外での情報漏洩リスクを最小限に抑えます。さらに、エンドツーエンド暗号化などセキュリティ機能が充実したコラボレーションツールを採用することで、安全なコミュニケーション環境を確保できます。これらの対策を総合的に実施することで、リモートワーク特有のリスクに効果的に対処できます。
MDMについては、次の記事も参考にしてください。
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ゼロトラストアーキテクチャの導入
従来の境界防御モデルの限界を克服するため、ゼロトラストアーキテクチャの導入が注目されています。このアプローチでは、ユーザー、デバイス、アプリケーションの組み合わせに基づくIDベースの細やかなアクセス制御を実施し、セッション中も継続的に認証と承認を行います。さらに、ネットワーク上の全トラフィックを常時監視・分析することで、異常を素早く検知します。これにより、内部と外部の境界を設けない、より柔軟で強固なセキュリティ体制を構築できます。ゼロトラストモデルは、クラウドやリモートワークが一般化した現代のIT環境に適した、新しいセキュリティの形といえるでしょう。
ゼロトラストアーキテクチャについては、次の記事も参考にしてください。
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従業員教育と組織文化の醸成
技術的対策だけでなく、人的要素も含めた総合的なセキュリティ体制の構築も重要です。効果的な従業員教育と、セキュリティ文化の醸成方法について詳しく見てみましょう。
セキュリティ意識向上プログラムの設計
従業員のセキュリティ意識を高め、実践的なスキルを身につけるための効果的な教育プログラムの設計には以下の要素が重要です。
- 定期的なトレーニング
四半期ごとなど、定期的にセキュリティトレーニングを実施し、最新の脅威動向や対策を学習します。
- 役割別カリキュラム
一般従業員、管理職、IT部門など、役割に応じた適切な内容のトレーニングを提供します。
- 実践的な演習
セキュリティインシデントの模擬演習を通じて、実際の対応力を養成します。
セキュリティ意識向上プログラムは、定期的なトレーニング、役割別カリキュラム、実践的な演習を組み合わせて設計することが効果的です。これにより、従業員全体のセキュリティスキルと意識を継続的に向上させ、組織の防御力を強化することができます。
フィッシング対策訓練の実施
フィッシング攻撃は依然として大きな脅威であり、効果的な対策には実践的な訓練が不可欠です。実践的な訓練では実際の攻撃に近い模擬フィッシングメールを従業員に送信し、その反応を評価します。訓練中の行動に対しては即座にフィードバックをすることで、学習効果を最大化します。さらに、訓練結果を詳細に分析して弱点を特定し、次回のプログラムに反映させることで、組織全体のフィッシング耐性を継続的に向上させることができます。この循環的なアプローチにより、従業員のセキュリティ意識と対応スキルを効果的に強化できます。
リモートワーク時のセキュリティガイドラインの策定ポイント
リモートワーク環境下での安全な業務遂行のために、従業員が遵守すべきセキュリティガイドラインの策定ポイントについて説明します。
- 安全な作業環境の確保
公共Wi-Fiの利用制限、画面のぞき見防止など、物理的セキュリティにも配慮します。自宅やカフェなどでの作業時は、周囲に機密情報が漏れないよう注意が必要です。また、安全性が確認できないWi-Fiネットワークの使用は避け、必要に応じてVPNを使用するよう指導します。
- デバイス管理ルール
個人所有デバイスの業務利用(BYOD)ポリシーを明確化し、セキュリティ要件を定めます。BYODを許可する場合は、デバイスへのセキュリティソフトのインストール、定期的なアップデート、暗号化の設定など、最低限のセキュリティ基準を設けます。また、紛失や盗難時の対応手順も明確にしておきます。
BYODについては、次の記事も参考にしてください。
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BYODとは?活用のメリット・デメリット、導入や運用するポイントを解説
- インシデント報告プロセス
リモート環境でのセキュリティインシデント発生時の報告・対応手順を整備します。従業員がセキュリティ上の問題を発見した場合や、デバイスの紛失・盗難が発生した場合の連絡先と報告方法を明確にします。また、リモートでのインシデント対応手順を確立し、迅速かつ効果的な対応ができるよう準備します。
これらのガイドラインを適切に策定し周知することで、リモートワーク特有のセキュリティリスクを大幅に軽減し、安全な業務環境を維持することができます。
技術と人材を融合させたセキュリティの実現に向けて
法人向けパソコンセキュリティ対策は、技術的対策だけでなく、組織全体での取り組みが不可欠です。最新の脅威に対応するためのエンドポイントセキュリティ、従業員教育、クラウドセキュリティ、そしてインシデント対応計画を包括的に実施することで、企業のサイバーレジリエンスを高めることができます。
特に、リモートワークの普及に伴い、従来のセキュリティ対策だけでは十分でない状況が生まれています。この課題に対して、データレスクライアントという新しいアプローチが注目を集めています。
データレスクライアントである「セキュアコンテナ」なら、隔離されたセキュアな業務領域を生成し、その中でのみ業務を行うことができます。業務終了時にはその領域を削除するため、MDMの導入やリモートワイプを使わなくても端末内に業務データを残すことはなく、万が一端末の紛失や盗難が起こった場合でも、重要なデータを失う心配がありません。スマートフォンやタブレットからセキュアブラウザを使って作業することもできます。
セキュリティ対策は、一度実施すれば終わりというものではありません。日々変化する脅威に対応するため、常に最新の情報を収集し、新しい対策技術を導入する必要があります。また、定期的に自社のセキュリティ状況を見直し、改善を続けることが重要です。
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