DLPとは?内部不正やヒューマンエラーによる情報漏洩を防ぐポイントを解説
2022.12.20投稿、2022.12.20更新
後を絶たない企業の情報漏洩。セキュリティ対策も進化していますが、それ以上に攻撃側の進化が早く、現在も新聞やテレビのニュースをにぎわしています。情報漏洩というと、外部からの攻撃によるものといったイメージが強いかもしれませんが、実は内部不正やヒューマンエラーも少なくありません。情報漏洩を防ぐには、外部からの攻撃に備えるだけではなく、内部のセキュリティ対策も重要なポイントです。
今回は、内部不正やヒューマンエラーによる情報漏洩を防ぐ施策であるDLPについて、その概要や活用のメリット、IT資産管理ツールとの違いを紹介します。
DLPとは?
DLPとは「Data Loss Prevention」の略称で、データの損失を防止するためのツールを指します。従来、セキュリティ対策を行うツールとしては、ウイルスの侵入を防ぐアンチウイルスソフトやWebフィルター、侵入したウイルスを削除するEDRやNDRなどがありました。
しかし、情報漏洩は、外部からの攻撃によるものだけではありません。IPA(情報処理推進機構)が2022年1月に発表した「情報セキュリティ10大脅威2022」では、「内部不正による情報漏洩」が組織における脅威の5位(2021年は6位)となっています。また10位には「不注意による情報漏洩等の被害」(2021年は9位)も選ばれており、外部からの直接的な攻撃以外にもセキュリティリスクは存在しています。
DLPは、企業が抱える個人情報や機密情報の紛失、外部への漏洩を内部から防ぐためのツールです。
DLPとIT資産管理ツールの違い
DLPと同様に内部からの情報漏洩を防ぐツールとしては、IT資産管理ツールが挙げられますが、それぞれが果たす役割は大きく異なります。具体的な違いは「監視対象」です。
IT資産管理ツールの主な監視対象としては、PCやコピー機、USBメモリなどのハードウェア、メールソフト、データベースなどのソフトウェアなどが挙げられます。
たとえば、ソフトウェアのライセンス発行数に異常はないか、更新し忘れはないか、PCは正常に操作されているかなどを管理するのがIT資産管理ツールです。
これに対し、DLPはPCやソフトウェアで扱われるデータ自体を監視対象としています。個人情報データが不正に持ち出されていないか、機密情報に不審なアクセスはないかなどを管理するのがDLPです。
DLPを導入するメリット
DLPの導入により得られる主なメリットは次のとおりです。
情報漏洩対策の効率化
インターネットの普及やIT技術の進化により、企業が扱うデータ量は増加する一方です。データの種類によってセキュリティリスクは大きく異なるため、年々増加するすべてのデータに対し、セキュリティ対策を行うのは非効率であり、対策漏れが出るリスクも少なくありません。
DLPは、個人情報や機密情報のみを抽出し保護をするため、本当に漏洩してはならないデータのみを確実に守り、情報漏洩対策の効率化を実現します。
また個人情報や機密情報自体を保護・管理するため、従業員の行動を監視する必要がありません。これにより、異動や退職をした従業員がデータを持ち出したりするといった事象からもデータを守ることができ、セキュリティ管理担当者の負担軽減にも大きく貢献します。
リアルタイムでのセキュリティ対策を実現
DLPの大きなメリットのひとつが、リアルタイムでのセキュリティ対策を行える点にあります。従来のセキュリティツールが得意とするのは、情報漏洩の検知やログの取得による漏洩要因の特定です。しかし、これらは情報漏洩後の対策であり、情報漏洩自体を防ぐものではありません。
DLPは、たとえば従業員の誰かが悪意を持ってデータを持ち出そうとすれば、その場で異常として検知・通報します。そのため、個人情報や機密情報が漏洩する前の段階でデータの漏洩を防ぐことが可能です。
ヒューマンエラーの軽減
情報漏洩は内部不正だけではなく、悪意がなかったとしても起こりえます。たとえば、個人情報を間違えてメールに添付し送信してしまう、機密情報と知らずにクラウドストレージにアップロードしてしまうなどのヒューマンエラーです。
従業員を監視するツールは、管理権限の有無を見て異常を判断するため、管理者が機密情報にアクセスし、間違った行動をしても異常とみなさない場合があります。一方で、DLPは、管理者権限の有無にかかわらず、データに異変があった時点で異常とみなします。そのため、ヒューマンエラーによる情報漏洩を軽減できるのです。
DLPの仕組みや機能
DLPの仕組みや機能について解説します。
DLPの仕組み
DLPが従来のセキュリティツールともっとも異なる点のひとつが、特定のデータが機密情報であると判別するための仕組みです。
DLPは、「キーワードや正規表現」「フィンガープリント」の2つで機密情報の判別を行います。「キーワードや正規表現」は、特定の住所、電話番号などの個人データや、新製品の商品名、製造方法などの機密データのキーワードを登録して判別する方法です。
この方法は以前からある手段で、キーワードが少ない場合は高い効果を発揮します。しかし、キーワードが増加すると、機密情報ではないデータにキーワードがひとつでも含まれていた場合でも機密情報と判別する可能性があり、管理が難しくなります。そのため、キーワードが多いと管理の手間がかかり、少ない場合はキーワードの登録漏れにより漏洩のリスクが高まることも考えられます。
そこで、DLPに搭載されているもうひとつの判別方法「フィンガープリント」が役立ちます。一般的にフィンガープリントは指紋を意味しますが、DLPでのフィンガープリントは、データの同一性を確認するために使用される値を指します。特定のデータのフィンガープリントを登録すると、そのデータのキーワード構成や文書構造と特徴が似たデータを機密情報だと判別します。
これにより、一つひとつキーワードを登録しなくても、自動で機密情報の判別が可能です。その結果、管理者の負担軽減に加え、登録漏れリスク軽減も実現します。
DLPの主な機能
製品によっても異なりますが、DLPの主な機能は次のとおりです。
- デバイス制御
従業員が利用するPC、スマートフォンなどのデバイスを一元管理し、利用を制御します。そうすることで、情報漏洩やウイルス感染から保護します。
- Web・メールセキュリティ
あらかじめアクセスできるWebサイトを指定し、不適切なWebサイトの閲覧を防ぐ機能です。また、登録されている機密情報をメールで送信できないよう、アラートを出す機能もあります。
- 機密情報の監視
登録した機密情報を監視し、外部への漏洩を防ぐ機能です。また、単純に持ち出しを監視するだけではなく、印刷や画面キャプチャといったアクションに対しても、アラートや管理者への通報により保護します。
DLP導入時に注意すべきポイント
DLPを導入する際に注意すべき点がいくつかあります。なかでも重要なポイントは次のとおりです。
DLP以外のセキュリティ対策も検討しておく
DLPは内部不正やヒューマンエラーによる内部からの情報漏洩を防ぐためのツールであり、外部からの攻撃を防ぐ機能は基本的にありません。企業を狙うセキュリティリスクは多種多様なため、外部からの攻撃に対応するための対策も検討が必要です。
従業員へのセキュリティ教育も欠かさない
従業員へのセキュリティ教育によって、内部不正対策の周知徹底を図ることも重要なポイントです。従業員一人ひとりがセキュリティリスクをしっかりと意識して業務を行うことで、DLPの効果はさらに高まっていくでしょう。
内部からの情報漏洩対策はDLPの活用がおすすめ
データ量が増えれば増えるほど機密情報も増加し、その管理にかかる手間やコストも増大します。また、ひとつ間違えれば情報漏洩により甚大な損害や企業の信頼失墜のリスクもあるため、効率化を進めながらしっかりと機密情報を保護する対策が重要です。
DLPは、内部不正やヒューマンエラーによる情報漏洩リスクを、セキュリティ管理担当者の負担を軽減しつつ実現するツールとして大きな注目を浴びています。内部からの情報漏洩対策を考えている場合は、DLPの活用を検討してはいかがでしょう。近年はテレワークが普及しており、オフィス以外の場所で働く従業員に対するセキュリティ対策も欠かせません。外部から社内のデータにアクセスする機会が増えているため、よりしっかりとした対策が求められます。
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