ITのプロフェッショナル企業におけるスマートデバイス業務インフラ構築への取り組み
TIS株式会社様
- 情報通信
- 従業員数 5,001~10,000名
- CACHATTO SecureBrowser
- コーポレート本部 情報システム部
- 部長 作田 義則 氏(中央)
- エキスパート 音喜多 順 氏(左)
- 魏 成涛 氏(右)
ITホールディングスグループの中核企業であるTIS株式会社は、金融、製造、流通、サービス、通信、公共など、さまざまな業界の情報システムインフラを支える大手システムインテグレーターである。
ITサービス活用の形が「所有」からクラウドサービスに代表される「利用」へシフトする中、同社では、これまで培ってきたSI・受託開発に加えてサービス型ソリューションの拡充を進めている。最近では、グローバル展開を加速する顧客のニーズに対応するため、アジア地域を中心に現地でのサービス体制の拡充にも取り組んでいる。
市場環境の変化に迅速、かつ柔軟に対応する同社が「スマートデバイスによる業務のリモートアクセスインフラ」として「CACHATTO」を選択。ITのプロフェッショナルである同社情報システム部が、何をポイントにプロジェクトを進められたのか、プロジェクト担当者に伺った。
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決め手はAndroid端末への対応、厳格なセキュリティ監査もクリア
2011年末、ITサービスの多様化に対応するための柔軟な営業体制を支援するモバイル業務インフラ強化策の一環として、スマートデバイスの導入を決定した。年が明けて直ぐに、情報システム部はスマートデバイスに対応したリモートアクセス製品の調査、評価を開始した。VPNや専用線(閉域網)を使った製品など4製品に絞り込み、さら評価を進めた。その結果、CACHATTOが最有力候補として選定された。
「専用線が要らないことからコストメリットが大きく、セキュリティ面での評価も高いものでした」コーポレート本部 情報システム部 エキスパート 音喜多順 氏は続ける。
「Gateway経由での接続でありながら、そのネットワーク設定を変えることもなく、しかも専用線も使わない。そして、決め手となったのは、『Android端末への対応』でした。他の候補製品はAndroid OSに対し十分な対応ができていませんでした」
3キャリアから公式推奨を受け、国内トップクラスのスピードで最新端末へ対応するCACHATTOの強みが評価されたのだ。
- コーポレート本部 情報システム部
エキスパート 音喜多 順 氏
コーポレート本部 情報システム部 部長 作田義則 氏からは「TISには社内システムへセキュリティ監査を実施するルールがあります。監査専任のプロも常駐しています。基幹システムの位置づけになるCACHATTOも当然その対象であり、脆弱性診断を行いました。プロによる監査ですから、厳しい審査報告や要求があったと思います。しかし、結果的には製品のセキュリティ強度を上げるためのアドバイスだったと好意的に受け止めていただきたいです」と、同社の厳格なセキュリティ基準への対応要求とともに、温かいお言葉をいただいた。
- コーポレート本部 情報システム部
部長 作田 義則 氏
自社のリモートデスクトップサービス「リモートワークス」と「CACHATTO」を併用
同社は「リモートワークス(Remote Works)」というSaaS型リモートデスクトップサービスを提供している。社外のPCから社内のPC環境に安全に接続できるサービスである。自社のサービスであることから、当然、多くの社員に使われている。それにもかかわらず、CACHATTOの導入は進められた。
その理由について、作田氏は以下のように述べる。
「リモートアクセスソリューションは、使うシーンや業務の性格によって使い分けるものと捉えています。リモートワークスはPC向けのソリューションです。大量のメール処理やOfficeファイルの作成などを腰を据えて作業する業務には向いていますが、業務をする場所を選びます。会議のちょっとした合間や営業先へ移動中の隙間時間にスマートフォンで素早く使用できるCACHATTOとリモートワークスは比較対象ではなく、むしろ、併用により業務効率が高まるものと判断しました」
単一な端末リモートアクセスインフラでオールラウンドな使い方を望むと、ユーザーに不便を強いる結果になりかねない。柔軟な思考で、業務シーンに応じた端末毎にリモートアクセスインフラを選択された同社の取り組みは、これからスマートデバイスの導入を検討する企業のケーススタディとなるであろう。
ITのプロフェッショナル企業におけるスマートデバイス業務のセキュリティ対策とは
あらためて言うまでもないが、同社はITのプロフェッショナル企業である。セキュリティに関しても、万全を期した対策が施されている。
音喜多氏にスマートデバイスの業務利用におけるセキュリティへの取り組みを伺った。
「CACHATTO利用時には、CACHATTO専用セキュアブラウザ(CACHATTO SecureBrowser)の機能でログオフ時に閲覧データのキャッシュ消去が行われるので全く心配していません。しかし、CACHATTOを経由しない業務も想定されます。端末上で商談情報のメモをとったり、その情報をSDカードに保存することもできます。そこで、当社はKDDI社のMDMサービス『KDDI 3LM Security』を採用しました。このMDMサービスには『SDカードへ保存するファイルを暗号化するサービス』や『遠隔で端末内のデータを消去するサービス』があり、万が一の端末盗難、紛失時にも漏えいを防止できます。また、Android端末は1機種に限定しているので、日々の運用とセキュリティ対策を画一化できています」
CACHATTOとMDMサービスの併用による高度なセキュリティ対策のみならず、運用管理工数の極小化を考慮し、プロジェクトを推進されているあたりはさすがである。
「BYOD(私物端末の業務利用)にも関心があり、研究を進めています。業務利用に最適化されたスマート端末の出現に期待しつつ、じっくりと準備をしていますよ」
今の運用に満足することなく、既に次のテーマに取り組まれていることも明かしていただいた。
簡単導入、安定運用を高評価 「運用障害は"ゼロ"です」
「インフラ製品としては極めて短時間での構築でした。これまで私が担当したシステム構築の中で、最も簡単な方でしょう。導入後、約半年経過しました。現在、スマートフォンは部長以上の幹部約350人に配布していますが、ユーザーの評価はおおむね良好です。また、運用も安定しています。これまでに運用障害は"ゼロ"です。これは評価に値しますね」
運用をご担当のコーポレート本部 情報システム部 魏 成涛 氏より嬉しいお言葉をいただいた。
- コーポレート本部 情報システム部
魏 成涛 氏
利用者数拡大に向けて、機能・サポート拡充を期待
「まだ、検証中の段階ですが、『ファイルサーバー閲覧機能』は早く公開したい機能です。現在公開していない理由は、配布しているスマートフォンの小さい画面サイズにあります。せっかく、ファイルがクリアに見られるのに、このスマートフォンの画面サイズでは効果半減と感じています。適切な画面サイズを持つスマートフォンかタブレット型端末を導入してから、と考えています」(作田氏)
ファイルサーバー閲覧機能による会議のペーパーレス化、などに期待をお寄せいただいている。
また、音喜多氏より「現在利用している機能は、メール、メールの添付ファイル、スケジュール、業務連絡(通達)※1の閲覧に使っています。今後は海外での利用機会が増えることは確実です。海外でも活用してもらいたいので、海外向けのサポートも充実してもらいたいと思っています」
「いずれは規模を拡大していく予定なのでサーバー冗長化機能の強化を要望します。自社の基幹システムは監視と冗長の自動化が連動されています。システムの安定稼働は我々の本分ですから、CACHATTOサーバーにも機能強化をお願いしたいです」と運用、サポート面での課題をいただいた。
これからも皆様のご期待に添えるよう、開発努力を続けてまいります。
TIS株式会社
ITホールディングスグループの中核企業にて銀行、保険、証券、クレジットカードの金融系から産業、公共分野までを手掛ける国内トップクラスのシステムインテグレーターである。
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿8丁目17番1号 |
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従業員数 | 6,812名 (2012年4月1日現在) |
売上高 | 147,994百万円 (2012年3月現在) |
事業内容 | コンサルティング、ソフトウェア開発、アウトソーシング等のシステムインテグレーション事業 |
URL | https://www.tis.co.jp/ |