情報セキュリティ強化で失った機動力をCACHATTOで解決
~独創的なコンテンツの提供でBYOD※1の垂直立ち上げを実現~
パナソニック コネクト株式会社様
旧パナソニック システムネットワークス株式会社 システムソリューションズジャパンカンパニー様
- 情報通信
- 従業員数 10,001名以上
- CACHATTO SecureBrowser
- 情報システム部 部長 稲田 貴久 氏
- 情報システム部 ICT戦略企画課 課長 藤井 宏之 氏
- 情報システム部 ICT戦略企画課 参事 小西 正次 氏
- 情報システム部 ICT戦略企画課 主事 野崎 隆之 氏
パナソニック システムネットワークス株式会社 システムソリューションズジャパンカンパニーは、ビジネスと社会システムの分野において、パナソニックならではのトータルソリューションを提供し、開発・製造・販売・サービス一体で、お客様の事業戦略の実行や業務改善をサポートする“新たな価値”をお届けしている。そのシステムソリューションズジャパンカンパニーは、営業の機動力向上と顧客接点の最大化を図る「スマートモバイル構想」実現に向けて、2014年秋、プラットフォームとしてのCACHATTOを導入。本格的なBYODの垂直立ち上げをどのようにして実現したのか導入の経緯と活用状況について伺った。
携帯電話向けリモートアクセスサービス終了が契機
まず、導入の契機についてシステムソリューションズジャパンカンパニー 情報システム部の稲田部長に伺った。
「パナソニックグループ(以下全社)標準のスマートフォン・携帯電話向けリモートアクセスサービスは、2015年春に携帯電話向けサービスを終了し、スマートフォン向けサービスも2016年春に新サービスへ移行することになりました」「弊社ではスマートフォン以外に約2,000台の携帯電話を社給(貸与)しており、携帯電話をスマートフォンに変更するコストが課題になりました。さらに、スマートフォン向けの新サービスは端末にメールデータが残る仕組みのため、『情報が残る端末の社外持ち出しを禁止』している弊社では、情報セキュリティルールに違反することになります」
「過去に情報セキュリティ事案を経験してきた弊社では、全社基準よりも厳しいルールで運用しているため、全社標準システムでは、要求レベルを満たせなくなったのです」
- 情報システム部 部長
稲田 貴久 氏
「これらの課題を解決するために、独自のシステム導入を検討することにしました」
稲田部長は続ける。「スマートデバイスの活用において、会社の悩みは、スマートフォン・タブレットを配るとコストがかかるということです。また、端末を配ってもすぐに陳腐化し、配った数だけ情報漏洩のリスクが高まります。一方、社給端末利用者の悩みは、端末紛失による情報漏洩リスクと、会社用と私用の2台持ちの不便さ。安全性と利便性が両立する便利なモバイル環境が望まれていました」
「コスト面においても、社給携帯電話をすべてスマートフォンに替えることも、全員に社給することもできない以上、BYOD利用を前提としたインフラづくりが必須と考えました」
6ヶ月の短期プロジェクトで立ち上げ
2014年4月、情報システム部は、『スマートデバイスを利用して隙間時間を有効活用することで業務を効率化し、顧客接点(顧客に接する時間)の最大化』を目標とする『スマートモバイル構想』の企画に着手した。
「出社前にメールやスケジュール確認を済ませ、移動中に決裁承認を行なう。お得意先訪問前に商談資料に簡単に目を通し、商談中のプレゼンテーションもスマホを片手に行なえる。そして急ぎのメールがなければ外出先から直帰するというワークスタイルを目指すことにしました」
「早速、テストIDをお借りして、社内システムの検証と必須コンテンツの開発に着手し、3ヶ月後の7月には、人事・総務や情報セキュリティ部門を巻き込んでプロジェクトを発足し、労務的な課題の検討やBYODでの情報セキュリティ運用ルールやマニュアルづくりを進めました」(稲田氏)
製品選定と機能検証について藤井課長が語る。
「セキュリティ面では、端末にデータが残らず、ポーリング方式によって社外から社内ネットワークに直接アクセスするルートを持たないため安全です。導入に際して、全社のファイアーウォールの設定変更が不要なことも、全社統制部門の了解を取得する上で重要でした。機能面では、メールの表示レスポンスが速いこと、マルチタスクであることに加え、携帯電話での利用が可能なことが決め手となりました。そして、セキュリティに厳しい企業や官公庁への導入実績を示すことで、商品選定の妥当性が高まりました」
その後、本番稼働に向けた体制構築が速やかに進められ、運用はクラウド事業を手がけている部門が担当することになった。
「通常、社内システムは情報システム部で運用しますが、今回はクラウドサービスをビジネスとしている『クラウド・サービス事業センター』で運用することにしました。それは『端末紛失時のCACHATTO利用停止受付の24時間365日対応』や、『3ヶ月CACHATTO未使用者の利用停止措置』などを行なうためです。社内システムの運用ノウハウを事業部門に蓄積し、CACHATTOを販売するという狙いもありました」(藤井氏)
- 情報システム部 ICT戦略企画課 課長
藤井 宏之 氏
BYOD導入了承と利用者へのシステム説明に腐心
続いて、導入にあたって苦労された点について伺った。特に腐心したのは、全社の情報セキュリティ統制部門からBYOD運用の了承を得ることと、利用者への説明会実施であったという。
まず、CACHATTO導入とBYODによる利用の了承について稲田氏は語る。
「弊社では、メールの常時監視、PCからUSBメモリーやSDカードへのコピー制御、PCの操作ログ記録など、グループ基準よりも一層厳しい情報セキュリティルールで運用しています」
今回は全社で初となる本格的なBYOD利用であるため、リスク評価を漏れなく行い、運用ルールを明確に定めて全社情報セキュリティ統括部門に対し粘り強く説明を重ねたという。
- プロジェクトについてお話になる
稲田氏、藤井氏
「結果として、『多層防御により、BYODを導入しても情報漏洩リスクは極めて低い』との判断が下され、パナソニックグループ全社で初の本格的なBYOD導入の了承を得ることができました」
一方、利用者向け説明会を全国の主要20拠点に出向き、通算で100回以上を開催。
「単なるシステム更新と捉えられないよう、スマートデバイスを使ってプレゼンを行い、利便性の高い機能を紹介することにしました。また、BYOD利用上の注意事項や勤務時間外の利用における労務管理上の扱いなどについての説明や、BYODに抵抗を示す人達との直接対話が必要でした」(藤井氏)
独創的なコンテンツを開発し業務利便性を向上
構想企画から半年後の10月、予定通りに本番展開が開始された。
まず管理職クラスを対象に利用を開始、11月からは一般社員へ対象を拡大した。利用者数は順調に伸び、2015年10月末で2,400名を超え、BYOD比率は利用者全体の6割に上っているという。
同社のシステムの特長はCACHATTOとのポータル連携を前提に独自構築した「Smart portal」にある。
「Smart portal」は社内のスケジュールや、アドレス帳、販売管理システムへのリンクはもちろんのこと、「Utility」に配置されている独自開発の業務支援ツール群がポイントだ。これらのツール群についてその一部を紹介する。
『ペーパーレス会議システム』
会議資料を社内の専用ページへアップロードするとPDFに自動変換され、会議参加者は資料をスマートデバイスで参照でき、資料配布が不要になる。
さらに、スマートデバイスをTV出力用アダプターで大型ディスプレイにワイヤレス接続し、会議でのプレゼンテーションも可能だ。
『外出くん』
利用者が外出前に個人の専用ページに提案書等の資料類をアップロードしておき、外出先でスマートデバイスから参照できるシステムが『外出くん』だ。利用者に代わって誰でもアップロードができるので、外出先で急に必要になった資料を社内の人にアップロードしてもらうこともできる。
営業担当者はTV出力用アダプターを持参すれば顧客先のTVでプレゼンテーションも行え、これがきっかけでCACHATTOの商談につながることもあるという。
ファイルサーバーでも資料の参照は可能だが、こちらの仕組みでファイルのアップロードを行うと、フォントを埋め込んでPDF化する為、資料が崩れず、ファイルサイズの圧縮により、パケットが節約できるのが特長だ。
『写庫たん』
施工担当部門から現場写真を報告に使いたいとの要望を受け、開発されたツール。スマートデバイスで撮影した写真をイントラネットのサーバーにアップロードでき、社内PCから利用できるようにしている。アップロード後、スマートデバイスに写真データは残らない。
- SecureBrowser上に表された
「Smart portal」メニュー画面
これらツール群の便利さもあり、営業部門でのCACHATTO利用率は90%以上になっているという。また、スマートデバイスでプレゼンテーションができることも重宝がられているとのこと。
「デスクトップPC利用者が会議室でプレゼンをするには、共用のノートPCを借りて資料を入れて持ち込む必要があります。その手間が省けるので喜ばれています」さらに、会議での予定調整や会議室の予約まで手元のスマートフォンで行えるようになったことも好評だという。これらのツールの便利さが利用者の拡大にさらに拍車をかけているようだ。
「シャドーITを抑止するには、利用者が必要なツールを提供すれば良いのです」「今後も業務効率化の効果が高く利用者の要望が多いツールを優先して開発していきます」(稲田氏)
- ペーパーレス会議システムを利用しスマートフォンで今回の取材に対応する稲田氏
メール、スケジュールのExchangeへの移行が課題
最後にCACHATTOへのご要望について小西参事に伺う。
「社内メールとスケジュールは独自システムからExchange※2に移行を予定しています。レスポンスや操作性、機能等が変わるため、使い勝手が悪くなった、と感じられないように、その差をCACHATTOである程度吸収できると良いですね」(小西氏)
最近はCACHATTOの商談を情報システム部門として支援する機会もあるという。「BYOD推進プロジェクトの経験を聞きたい、とお客様の情報システム部門から弊社営業を通じて要請を受け、商談に同行することもあります」「情報システム部門は、こういった形で事業貢献することもミッションにしています」(稲田氏)
一歩先を見ながら常に改善に取り組む同社情報システム部からは、「攻め」のITマネジメントが感じられた。
- 情報システム部
ICT戦略企画課 参事
小西 正次 氏
パナソニック コネクト株式会社
旧パナソニックシステムネットワークス株式会社
パナソニックシステムネットワークス株式会社は、開発から製造・販売・施工・保守サービス迄を総合的提供する体制を目指し、商品の開発、製造を担当していたパナソニック システムネットワークス株式会社、パナソニックSSインフラシステム株式会社、そしてソリューション販売会社であるパナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社の3社が合併し2013年に発足。パナソニックの幅広い商品群とモノづくりを通して長年にわたり培われたノウハウを活用し、顧客の課題解決、発展に向けたシステム提案・提供を行っている。
本社所在地 | 東京都中央区銀座8-21-1 |
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資本金 | 3億5千万円 |
設立 | 2013年3月1日 |
事業内容 | 監視・防犯カメラ、決済・認証端末、PBX、IP関連機器、ビジネスホン、ドキュメント関連機器、無線関連システム、社会インフラシステム等の開発・製造・販売、SI、施工、保守サービス |
従業員数 |
7,700名(単独) 3,500名(システムソリューションズジャパンカンパニー) 18,500名(グループ) (2015年2月現在) |
URL | https://connect.panasonic.com/jp-ja/ |