テレワークはBCP対策としても有効!その理由や導入のポイントとは
2022.09.06投稿、2022.09.06更新
BCP(事業継続計画)対策は、近年多発する自然災害や、感染症の世界的な流行(パンデミック)により、多くの企業が検討しているところでしょう。現在は、コロナ禍によりテレワークを導入する企業も増えました。そのなかで、テレワークが感染症対策や働き方改革だけでなく、BCP対策としても有効であることが改めて認識されています。しかし、テレワークをただ導入すればBCP対策になるということではありません。
今回は、なぜテレワークがBCP対策として有効なのか、BCP対策としてテレワークを導入する際のポイントや注意点などを紹介します。
BCPとは
BCP(Business Continuity Plan)とは「事業継続計画」という意味です。中小企業庁ではBCPを以下のように定義しています。
“BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。”
引用:BCP(事業継続計画)とは|中小企業庁
つまり、BCPとはテロ、災害、パンデミック、システム障害などのトラブルで企業が危機に陥っても、業務を継続して事業を存続させるための計画です。これまでの災害対策とは異なり、主目的を「事業の継続」に置いているのが特徴です。
中小企業庁だけでなく、内閣府でも2005年に策定した事業継続ガイドラインでBCP策定を推奨しています。BCPはすべての企業に必要な対策であるといえるでしょう。
なお 、BCPを立案するための戦略はBCM(Business Continuity Management、事業継続マネジメント)と呼ばれています。
なぜBCPが企業に必要なのか
BCPは、非常事態が発生しても企業が存続していくために必要な対策です。BCPを策定していない場合、緊急時にその場の対応に追われてコア事業が途切れてしまい、結果的に企業の存続が危うくなる可能性があるからです。
あらかじめBCPを策定していれば、業務や事業を途切れさせずに、早期にトラブルから復旧できます。緊急時の対策が万全であれば、顧客や株主の信用も維持でき、結果的に企業の存続につながります。BCPは策定後も定期的に見直して修正し、より有効性を高めておかなくてはなりません。内閣府では、実施すべき具体的な対策として次のような内容を挙げています。
- 対応拠点、代替拠点等での設備や機器の設置または確保
- 通信、電源、水をはじめライフラインの代替対策(自家発電、回線多重化など)
- 現拠点の建物、設備等の防御のための対策(耐震補強、防火対策、洪水対策、テロ対策など)
- 情報システムのバックアップ対象データ、バックアップ手順、バックアップシステムからの復帰手順の決定
- 重要なデータ・文書のバックアップの実施
- 業務拠点の多重化・分散化
- テレワークのための環境整備
- 原材料や部品の調達先・販売先の複数化
- 提携先の選定と協定等の締結
- 在庫の増強や分散化
- 代替人材の確保・トレーニング
- 資金確保対策
- 備蓄品、救助用器具等の調達
参考:事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-(令和3年4月)|内閣府防災担当
ただし、これらはテレワークが想定される以前の、オフィスでの業務を前提とした項目です。現在は多くの企業でテレワークが導入されているため、新たな要素も必要になっています。
また、テレワークの導入そのものがBCP対策としても有効です。
BCP対策でテレワークが有効な理由とメリット
テレワークには以下のようなメリットがあることから、BCP対策の1つとしても認識されています。
- 非常事態が発生しても、在宅勤務で業務を継続することができる
- 災害時やパンデミック、テロ発生時には危険な通勤を避けることができ、社内や従業員の安全を確保できる
- オフィスなど拠点の機能・人数を最小限に抑えることができる
- 書類やデータがオフィスで破損したり、持ち運んで破損・紛失したりする可能性が減る
- 緊急時に従業員を家族と別々にするリスクを抑えられる
テレワークを導入する環境が整ってきた
最近は、業務のIT化、特にクラウドサービスの導入やリモートアクセスが普及しています。そのため、BCP対策としてのテレワークも実現しやすい環境が整ってきました。
テレワークには、 BCP対策のほかにもさまざまなメリットがあります。詳しくは、以下の記事をご参照ください。
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テレワークはメリットだらけ? 企業側・従業員側の利点とデメリットも紹介
BCP対策でテレワークを導入する際のポイントと注意点
テレワークはBCP対策に有効ですが、テレワークを導入すればBCP対策が完了するということではありません。テレワークはあくまでBCP対策の1つです。 BCP対策としてテレワークを導入する際のポイントや、運用するうえでの注意点を紹介します。
導入する際のポイント
BCP対策としてテレワークを導入する際は、以下のポイントをおさえて実施すると、上述した「BCP対策に有効といえるテレワークのメリット」を実現できます。
- 文書の電子化・ペーパーレス化、印鑑の廃止
社内資料や契約書類などの文書を紙で保管していると、なかなかテレワークは進みません。また、上長から承認の押印が必要な場合は、押印を依頼するためだけに出社しなければならなくなります。これらの電子化を進め、文書はデータに、印鑑は電子印などに切り替えましょう。
- オンラインストレージ、クラウドサービスの活用
データ化した文書をオンライン保存するための場所を確保する必要があります。現在、クラウドサービスのなかでもさまざまなオンラインストレージのサービスが出ていますが、容量はもちろんBCP対策にかかわる機能なども考慮して、自社に合ったサービスを利用しましょう。
- コミュニケーションツール、情報共有ツール、オンライン会議システムの導入
テレワークでは、社内外ともに情報の共有や打ち合わせはオンラインで行います。接続人数やセキュリティ面、アクセスの良さなどを考慮して最適なツールを選びましょう。
- 進捗状況管理、労務管理をしやすくするシステムの導入
テレワークでは、勤務時間や進捗の管理が従業員1人に委ねられる割合が大きくなります。災害時はその比重がより大きくなるため、日ごろから従業員の進捗状況管理や労務管理を行える機能を備えたシステムを導入しておくと安心です。
- セキュリティに配慮したテレワーク環境の整備
リモートアクセスでは、セキュリティ対策がとても重要です。社外からオフィス環境にアクセスする際は、情報漏洩やマルウェア感染、端末の持ち出しによる盗難・紛失などのリスクが多く潜んでいます。テレワーク環境では、セキュリティ面で信頼のおけるツールの導入を検討しましょう。
運用するうえでの注意点
- 全社的な使用テストを行う
非常事態が発生したときに、いきなりテレワークを導入するのは難しいでしょう。想定どおりにアクセスができない、操作ができないなどのトラブルが発生する可能性があります。平時からテレワークを導入し、環境や使用方法をテストしておくことが必要です。
- 従業員へのセキュリティリスクの啓蒙
どんなにセキュリティ対策のとれたツールを導入しても、従業員がリスクを理解していなければ有効に活用できません。社外では私物端末で勝手に業務を行ったりすると、情報漏洩やファイルの不正利用などのリスクあることを、従業員へ周知することも大切です。
- テレワークの主目的はBCP対策ではない
テレワークの導入目的は、あくまで業務効率化・生産性向上・コスト削減・人材確保などです。主な目的がBCP対策ではないため、日頃から従業員にとってどのようにすれば円滑にテレワークが行えるか考えましょう。
テレワークのセキュリティについて詳しくは、以下の記事をご参照ください。
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【事例あり】テレワークに必要なセキュリティ対策とは?技術面と運用面から解説
BCP対策でテレワークを導入した企業の事例
BCP対策としてテレワークを導入した企業の事例を3件紹介します。
美術系大学
T大学では、非常時にも在宅勤務で対応できるように、オンプレミス設置型の「CACHATTOリモートデスクトップ Box」を導入しました。大学で利用しているシステムのほとんどがオンプレミス環境で、ファイルも社内ネットワーク上にあったため、それに対応するリモートデスクトップ製品を選択しました。
これまでは、在宅勤務が可能な業務は限られていました。部署ごとに利用しているPC環境が異なること、学生の個人情報が多く含まれるためセキュリティが重要なことなどが理由です。しかし、コロナ禍によって大学のあり方も変化しているなか、リモートデスクトップ接続が可能になったことで、時代に見合った働きやすい環境が整いました。今後はBCP対策としての活用を想定しながら、通常時の在宅勤務での利用も検討しています。
スナック菓子メーカー
C社では、コロナ禍によりテレワーク導入を進めています。本社や地方拠点でオフィス勤務を行っている社員は原則テレワークとして、コロナ禍が落ち着いてもテレワークを継続する方針を固めました。
テレワーク導入後、通勤時間の削減、オンライン会議システムの浸透、文書の電子化などで大きく業務効率化が進んだことが理由です。また、社員がテレワークのメリットを理解し、続けていきたいという意識を持ったのも大きいでしょう。
現在も、さまざまな施策でテレワークを推進しています。たとえば、通勤定期代ではなく出社日数に応じた交通費の支給、テレワーク環境を整備するための「モバイルワーク手当」の新設、会社が認めた場合は単身赴任を解除などです。
大手IT企業
M社では、東日本大震災より以前の2011年2月からテレワークを本格的に導入していました。そのため、東日本大震災の翌週は3日間、社長命令により原則全員在宅勤務で業務を継続することができました。
震災直後の混乱や計画停電のなかでも十分に業務を行えたことから、BCPの観点でもテレワークが積極的に推進されるようになりました。導入から5年で1人当たり生産性は26%向上し、女性の離職率は4割改善しています。
BCP対策でテレワークを導入する際は、セキュリティの確保が欠かせない
現在テレワークを行っている企業には、コロナ禍によってあわててテレワークを導入したという企業も多いのではないでしょうか。その場合、BCP対策としては利用しにくかったり、セキュリティのリスクが残っていたりするかもしれません。一度自社のテレワーク体制をしっかり見直し、ツールを導入したりセキュリティを強化したりして体制を整える必要があるでしょう。
リモートアクセスサービスの「CACHATTO」では、「端末にデータを残さない」「外部に持ち出さない」といった高いセキュリティを保持します。そのため、手元の端末から社内のさまざまな業務リソースへ安全に接続が可能で、BCP対策のひとつとしても有効です。リモートデスクトップ、セキュアブラウザ、セキュアワークスペースなどのさまざまな製品を用意しており、自社に合わせた方法を選ぶことができます。11年連続国内シェアNo.1、累計導入数1,500社以上(※2022年2月時点)という高い実績で、幅広い業種で使われています。詳しくは以下をご覧ください。
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