東京急行電鉄株式会社様
~BYOD環境を支えるCACHATTOのセキュリティ~

- インタビューにお答えいただいた担当者様:
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東京急行電鉄株式会社
生活サービス事業部 ICTメディア戦略部
課長 本山 伸一 氏
課長補佐 若菜 徳雄 氏
事例詳細

東急グループは、「目黒蒲田電鉄株式会社」の1922年設立に始まり、東京都から神奈川県にかけての鉄軌道事業の経営と共に、その沿線開発という事業趣旨から様々な事業を展開。現在の東急グループは交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業、ビジネスサポート事業を事業分野として220社8法人(2014年3月末現在)を擁するまでに拡大している。
グループの中核として位置付けられている東京急行電鉄株式会社(以下、東急電鉄)は鉄軌道事業と不動産事業を担当しており、その事業の性質上、社員は社外に赴き活動する機会も多いという。そういった社員の利便性向上のため、およそ10年前から携帯電話で社内メールやスケジュールを参照できるリモートアクセスツールを社員に提供してきた。そのシステムの現在に至る変遷と社外からのアクセス環境を社員がどのように活用しているのか、同社の情報システムを担当する生活サービス事業部 ICTメディア戦略部の本山課長と若菜課長補佐に話を伺った。
現場からの要望でリモートアクセスツールを導入
東急電鉄では、2003年にメールやスケジュールを社外から確認するためにA社の携帯電話用リモートアクセスツールを導入。2009年には基幹のメール・スケジューラーをExchangeへ移行したことに伴い、B社製のExchange向け製品へと更新。そして、2014年3月にあらためてCACHATTOが導入された。比較的早い時期から携帯電話でのリモートアクセス環境を整備することに到った背景と、今般、CACHATTOへ刷新された経緯について伺った。
「営業職やグループの関連会社に派遣されている社員からは出先で社内メールを見たいとの要望があり、さらに線路沿いでの工事立ち会いや監督作業など鉄道の現場作業を管理する社員からも現場で携帯電話を使って社内メールを見たいとの声がありました」と若菜氏。外出が多い現場社員からの要望に対応して、同社ではいち早く携帯電話向けのリモートアクセスツールを導入していたのだ。
その後、Exchangeへの移行に伴ってリモートアクセスツールも更新した。ところが、「更新したシステムでもメールの添付ファイルが見られるようにならなかったため、ユーザーからはあまり評判がよくありませんでした」(若菜氏)。また、このリモートアクセスツールは携帯電話専用で、当時普及し始めていたスマートフォンには対応していなかった。結果として会社のメールを個人のメールアドレスに転送し、私物のスマートフォンや自宅のPCで確認する社員が増えてしまったという。
セキュリティ強化と利便性向上のためCACHATTOへ刷新

生活サービス事業部
ICTメディア戦略部
課長 本山 伸一 氏
「メールの内容を一度確認し、機密性や重要度などを判断の上で転送するのならいいのですが、中には自動転送の設定をしている人もいました。これではセキュリティリスクとなるため、メールの転送を全て禁止し、メールの添付ファイル参照ができる新たなリモートアクセスツールの選定に着手しました」と若菜氏。
そして選定候補のひとつに挙がったのがCACHATTOだった。実はCACHATTOは、2009年のExchange向けリモートアクセスツール導入の際にも候補の1つだったとのこと。「当時は予算的に折り合わず、採用を断念したのです」と本山課長は振り返る。
今回の検討において他社製品と比較するなかで、下記をポイントとしてCACHATTOが選定された。
- ・スマートフォンでの利用を考慮した高セキュリティ
- ・利用中のツールでの課題であった添付ファイルの参照
- ・携帯電話(フィーチャーフォン)、スマートフォンの両対応
なかでもCACHATTOのセキュリティ性の高さは特に評価されたとのこと。そして、管理画面の使いやすさ、24時間監視などのサポート体制の充実も評価のポイントとなり、今回は予算面もクリアできCACHATTOの採用が決定した。
同社ではリモートアクセスツールを導入した2003年当初より、携帯電話やスマートフォンの会社支給は行っていなかったため、基本的に社員は私物のスマートフォンまたは携帯電話を利用するいわゆる「BYOD ※1」環境でリモートアクセスツールを利用していた。個人所有端末へのMDM ※2ツールなどによる端末管理は展開が難しいため、BYOD前提で安心して使えるCACHATTOの高いセキュリティ性は極めて重要だったという。
「端末にデータを一切残さない、というのが良いと思いました。また、ファイアウォールに穴を開けるのではなく、社内側からはポーリングで情報を取得するアーキテクチャは、リモートアクセス環境のセキュリティ性というものが、ものすごくよく考えられているなと感じました」
「また、機能要望に対してユーザー個別にカスタマイズするのでなく、ユーザー各社からの要望を吸い上げて基本機能を向上してくれるところも良いですね」(本山氏)
当初予想を上回り利用ユーザーが急増

生活サービス事業部
ICTメディア戦略部
課長補佐 若菜 徳雄 氏
CACHATTOは2014年7月に本稼働を開始。あわせてメールの自動転送を禁止する旨が社内に告知されたという。CACHATTOの導入とその後の状況について若菜氏に伺った。
「導入にあたっては大きなトラブルもなく、スムーズでした」。そして「3月に導入しましたが、ユーザーへの転送停止の案内や、運用テストなどに時間をかけたため、ユーザーへの解放は7月からになりました」。また、「メール転送停止の社内告知に際しては、積極的にCACHATTO利用を呼びかけたわけではなく、『メール転送の代わりにCACHATTOが利用できます』程度の案内だけでした。既存のリモートアクセスツールもしばらく並行稼働させていたので、CACHATTOの利用ユーザーはそれほど急には増えないと考え、300ユーザー分のライセンスでスタートしました」とのことである。
ところが「ふたを開けてみたら口コミで評判が広がり、CACHATTOの利用者がどんどん増えました。稼働後わずか4ヶ月で800ユーザーくらいまで増えています」。そして「ユーザーからは良い評判ばかりですね。マニュアルいらずで、非常に使いやすい。実は先週CACHATTOを3日間停止したのですが、その間使えなくて困るという現場からの問い合わせが多数ありました。既に東急電鉄になくてはならないツールとなっています」と、若菜氏。
性善説に立ってユーザーの利便性を追求
スマートフォンだけでなく、iPadなどのタブレットでもCACHATTOは利用されているという。CACHATTOは同一ユーザーアカウントで複数端末を利用できることから、東急電鉄では、1人4台までの端末利用を許可しており、ユーザーは状況により端末を使い分けることができるのだ。
「使える端末は、どんどん使ってもいいようにしています。3年くらい前まではあれもダメ、これもダメと厳しくする体制でした。しかし、それでは社員の利便性は向上しません。性善説で考え、必要なセキュリティ対策は施したうえで、いまではなるべくユーザーに解放するようにしています」(本山氏)
制限するのではなく可能な限り解放する。その代わり必要なセキュリティ性を確保し、ログをしっかり取得して牽制することで利用者のモラルを維持する方針である。例えば、社内PCからのインターネットアクセスにあたっても、従来はアクセス禁止サイトを定めてブロックしていたが、インターネットでの情報収集の利便性を高めるために今は基本的にアクセスの規制を緩和し、アクセスログを取得していることをユーザーに告知することで利用者のモラルを維持し、事故やリスクを抑止しているのだという。
「社員のワークスタイルは変わってきています。それを制限するのではなく、なるべく使いやすくしていくべきだと考えています」(本山氏)
海外拠点を中心にPCでの利用も推進
本山氏は続ける。「CACHATTOはスマートフォンを主な対象としていますが、海外の事務所ではPCで利用したいという要望があります」。また「会社のPCを自宅に持ち帰り仕事をする場合があるのですが、治安が良くない海外の地域ではひったくりが多いため、PCを家に持ち帰りたくない、との声が現場からありました。そこで、海外では自宅PCからのCACHATTOでのアクセスを利用しています」。
国内でも東急電鉄のオフィスとグループ会社のオフィス間を移動しながら仕事をする人がおり、出先のグループ会社のオフィスでもメールができるように従来はPCを持ち歩いていたが、今は出先オフィスのPCでCACHATTOを使ってのアクセスを利用しているのだという。「PCはキーボードがあるのでスマホに比べてメール入力の効率が良いため、積極的にOKしています」。
CACHATTOはユーザー単位ライセンスなので、利用端末が増えても追加費用が発生しないのもいいところなのだと言う。
マイクロソフト社製品群との連携強化を要望

最後にCACHATTO活用の今後の方向性と要望について伺った。
「今はメールとスケジュールのみCACHATTOと連携していますが、今後、ファイルサーバーや社内のワークフローシステムとも連携していきたいですね」。「マイクロソフト社の製品を多く導入しており、Microsoft Lyncは社内の全PCに入っています。このIM ※3とプレゼンスがCACHATTOで見られるようになると良いですね。CACHATTOのアドレス帳で在席状態がわかって、そのまま電話をかけられると便利です」。
「現在はオンプレミスでExchangeを使っていますが、今年度中にOffice365(Exchange Online)へ移行予定です。このExchangeのスケジュール調整が出先でできるように、複数人の他人のスケジュールを並べて見られるようにして欲しいです」(若菜氏)
システム改善に真摯に取り組む同社からのご要望は、ユーザー目線での利便性向上が強く反映されたものであった。
お客様会社概要

東京急行電鉄株式会社は、田園調布、洗足などの街づくりのため設立された「田園都市株式会社」の鉄道部門を分離し発足した「目黒蒲田電鉄株式会社」の1922年9月の設立に始まる。その後、首都圏の複数の電鉄会社を吸収合併し、鉄道業の基盤を固めるとともに、沿線開発という事業趣旨から、流通事業、開発事業、観光サービス事業、文化事業などを付随して誕生させ、現在の東急グループの基礎を築いてきた。
東急電鉄では現在、鉄軌道事業、都市開発事業、生活サービス事業をはじめとするさまざまな事業を展開しており、東急線沿線がこれからも顧客から「選ばれる沿線」であり続けるよう、これら事業の連携による相乗効果により沿線価値を高めることに注力している。

会社名 | 東京急行電鉄株式会社 |
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本社所在地 | 東京都渋谷区南平台町5番6号 |
従業員数 | 4,325人(2014年6月30日現在) |
資本金 | 1,217億24百万円(2014年3月31日現在) |
創業 | 1922年9月2日 |
事業内容 | 鉄軌道事業、不動産事業 |
URL | http://www.tokyu.co.jp/ |